期待育種価 美味しい霜降り牛肉を生む牛とは
期待育種価という評価指標
育種価は優れた指標ですが、推定されるまでに、最短で5歳と長い年月がかかるというデメリットがあります。
これでは、優れた指標であっても使いずらいものです。
そこで、期待育種価という基準が考えられました。
両親の推定育種価からある程度能力測定は可能です。仔牛の能力というのは、両親の推定育種価の平均を中心いばらつくことがわかっています。
なので、そこから、計算式を導き出し、仔牛の期待される能力(期待育種価といいます)を計算します。
期待育種価値は計画配合や、育成牛の選抜、枝肉成績の予測など様々な場面で活用できます。
子牛の期待育種価 = (父の推定育種価 + 母の推定育種価)/ 2
計算式を見るとわかるように、仔牛にの能力にとって父と母の影響力は同じであり雄の改良が重要であることがわかります。
育種価を用いた改良 美味しい霜降り牛肉を生む牛の改良
育種価とは何か?はわかりましたが、これをどのように使えばよいのでしょうか?
育種価を使いどのように牛群を作ってゆくのかを書いて行きます。
1.育種価を早期に推定する
育種価をより早く入手するために以下の2点をまず行います
1)産子の肥育成績を収集する体制を作る
2)1、2産目の産子はできるだけ雌雄にかかわらず肥育する
2.推定育種価を活用する
推定育種価を活用し 交配計画の作成・実施し、後継牛の生産を行います
1)遺伝的能力を把握します
推定育種価により本牛の特徴を捉ます
以下の項目で評価します。
1.枝肉重量
2.ロース芯面積
3.バラの厚さ
4.皮下脂肪厚
5.歩留まり基準値
6.脂肪交雑
2) 推定育種価により本牛が牛群の中でどのレベルにあるか確認します
上位0.13%以内 がA+++
上位0.13%~2%以内がA++
上位2%~10%以内がA+
上位10%~25%以内がA
上位25%~50%がB
上位50%~75%がC
3)推定育種価に基づいて用途を決定していきます
能力が高い牛だけを遺伝資源として牛群に残します。
ドナー候補 :トップクラスの能力を持ち、お金と労力を掛けて効率的に増産する価値がある。
後継牛生産用:能力が高く、牛群に遺伝子を残す価値がある。
市場販売用 :能力は高くないが、血統が評価されるなど子牛市場で高値が期待できる。
受卵牛 :経営の中で受精卵移植を行っており、能力は低いが繁殖成績が良い。
4)交配計画及び産子を生産する
用途、血統、能力の特徴などにより交配計画を作成し後継の牛を生産します。
1)~4)を栗菓子牛群の改良を進めていきます。
まとめ
繁殖農家がどのように、牛の改良を行っているかがわかってもらえたと思います。
より良い牛を世に生み出すために、もっと良い牛を求めて、努力しています。
職人が作り出す、和牛という「肉の芸術品」を味わっていただきたいと思います。
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