ビタミンAのコントロール 美味しい霜降り和牛肉を作るプロの技
霜降り牛肉を作るうえで欠かせないのが、このビタミンAのコントロールです。
なぜなら、ビタミンを入れすぎた状態でいくら食べさせても、霜降りが綺麗に入らないためです。
だったら、ビタミンを0にすればよいのかといえばそうではありません。
ビタミンAは牛が生きてゆくうえでとても大切な栄養素です。
低くなりすぎると、欠乏症状が起き、最悪死んでしまいます。
霜降りが入るようにビタミンをうまく調整し、出荷まで牛をもっていかなくてはいけません。
そこには、牛の発育も含めた綿密なビタミンの給与方法が確立されています。
しかし、相手は牛です。個体差があります。一頭一頭様子を見ながら決められた期間に、
決められた量のビタミンを入れていく必要があります。
ビタミンAとは? 美味しい霜降り和牛肉を作るプロの技
ビタミンAの役割
ビタミンAのコントロールの前に、ビタミンAを知らなくてはいけません。
ビタミンAとは何かというと、ビタミンAとは、生物系でビタミンA活性を示すカロテノイドの総称です。
ビタミンAは生体維持に欠かせないビタミンで、以下のよな役割を持ちます
1)網膜の桿体内でオプシンと結合して、ロドプシンを形成し、正常な視力を維持
2)上皮組織の正常な構造と機能の維持
3)成長ホルモン、甲状腺ホルモン、インスリン様成長因子ーIなどの分泌に関わり、正常な発育を促進。
4)骨芽細胞の活動を支えて、正常な骨の育成に関与
5)雌畜の妊娠維持や、雄畜の精子形成など、生殖の生理機能に関与
また、人では、癌の発生を抑制する効果が示唆されるなど、多様な機能を持ちます。
ビタミンAの摂取 美味しい霜降り和牛肉を作るプロの技
上記のように、とても多くの役割を持ったビタミンAですが、哺乳類はビタミンA活性物質を生合成できません。
そして、植物もこれを含有していません。
そのため、動物は植物中のカロテノイドからビタミンA(レチノール)を生合成する機能を持っています。
すなわち、摂取したカロテノイドを小腸粘膜(一部は肝臓)に存在するβーカロテノイドデオキシゲナーゼにより開裂させ、2分子のレチノールを生合成します。
このことからカロテノイドはプロビタミンAとも呼ばれます。
このように、牛が必要とするビタミンA栄養は2つのルート、
1)ビタミンAの飼料添加または魚粕などの動物性蛋白
2)植物中のカロテノイドから
供給されることになります。
まとめ
このビタミンのコントロールというのは、牛作りを行っていると必ず当たる問題です。
そして、牛は動物です。機械ではないので、マニュアル通りに給与しても、うまくいくときもあれば、故障が起きる場合もあります。
だからこそ、そこには、プロの目、職人の目というものが必要になってきます。
プロが手塩にかけて作り上げた最高傑作和牛。
ぜひその味をお楽しみください。
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