ビタミンAの蓄積 美味しい霜降り牛肉を作るプロの技
摂取したビタミンAを蓄積し、肥育の中期、後期に備えます。
小腸から吸収されたレチノールは、一部は小腸粘膜固有層に貯蔵されます。
そのほかは、血流を介して、末梢組織や、肝臓に送られ、それぞれ代謝あるいは、貯蔵されます。
レチノールは肝臓の伊藤細胞や、細胞組織に多く貯蔵され、必要に応じて、肝臓で合成された、レチノール結合蛋白質と結合しプレアルブミンと複合体を形成して各組織へ運搬されます。
各組織には細胞ないレチノール結合タンパク質、や、細胞内レチノ酸結合タンパク質が存在し、レチノールや、レチノ酸の受け取りをします。
食餌から摂取されたビタミンAの3分の1~3分の2や一週間以内に排出され、残りの3分の1が主として、肝臓で代謝あるいは貯蔵されます。
ビタミンAの必要量と欠乏 美味しい霜降り牛肉を作るプロの技
日本飼養標準によれば、肥育牛における、ビタミンAの1日あたりの必要量は、Kgあたり、42・4IUとされ、500Kgの肥育牛では、21200IUが必要とされています。
飼料からのビタミンAの無給与状態が持続すると、5~10カ月で枯渇し、欠乏症を引き起こします。
牛の場合13カ月あたりから、ビタミンを徐々にきり、ビタミンAが添加されていない配合飼料や、カロテン含有の少ない単味の濃厚飼料や稲わらの給与が行われます。
また、導入後の肥育期間も18カ月以上と長いため、ビタミンA欠乏症が発生しやすくなります。
ビタミンA欠乏の症状 美味しい霜降り牛肉を作るプロの技
ビタミンが欠乏してくると、症状が出てきます。
餌を与える際に、症状が出ていないかをしっかり見て給与する必要うがあります。
軽度のビタミンA欠乏では、食欲不振、被毛粗剛、四肢の冷性浮腫などが見られます。
重度であると、頑固な下痢、盲目、失神及び、発育遅延などが見られるようになります。
屠畜場でで見られる筋肉水腫(ズル)の主な原因は、ビタミン欠乏によるものだと考えられています。
盲目であるかを見るには、牛の目の前で(目につくほど近くです)で手を振ってみるとわかります。
もし目が見えているのであれば、瞬きをします。見えていないのであれば、瞬きをせず、そのまま見つめています。
また、牛の目の瞳孔に光を当ててみるとA欠であるかを見ることができます。
血液中のビタミン 美味しい霜降り牛肉を作るプロの技
では、血液中のビタミンがどの程度であると欠乏症が見られるのでしょうか
血清中のビタミンAが40IUを下回ると欠乏症の恐れがあり、
30IU以下では危険性が高く、20IU以下ではほとんどの牛が何らかの欠乏症状を示すようになります。
まとめ
ビタミンを途中で切って餌を与えるわけですが、なぜそれでも牛が生きていけるのかがわかりましたね。
主に肝臓にビタミンを蓄積してゆくのですが、配合飼料を多く食べさせることにより、肝臓機能が低下し、ビタミンを蓄積できない症状も出てきます。そのあたりは別項へ譲ります。
単純に餌を与えていただけでは、霜降り肉はできません。
膨大な知識と、経験、そしてプロの技によって、和牛は作られているのです。
プロが作る最高の霜降り和牛肉でお楽しみください。
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