熟成肉の定義とは?
そもそも熟成肉とは何なのかというと、じつは明確な定義がありません。
例えばビールなどであれば、原材料や、製法などでビールというものの定義はされているものです。
しかし、熟成肉には今のところ、こういった定義はないのです。
そのため、少し寝かしただけのお肉でも、熟成肉です、と言ってしまえば、熟成肉になってしまいます。
なぜ熟成するの?
お肉を熟成させることにより、お肉が美味しく変化するため、熟成させます。
牛肉は屠畜後、しばらく硬直したのち、硬直が溶け、その後お肉が柔らかくなります。
お肉を一定の温度、湿度で保つことにより、いろいろな変化が生まれてきます。
その一つは赤身肉に含まれるタンパク質がうま味成分であるアミノ酸へと変化が起こります。
一定の温度、湿度に保たれた熟成庫の中にお肉を置いておくことにより、アミノ酸が増えより赤身肉が美味しくなるのです。
ただ熟成の恩恵は赤身肉の部分は受けれますが、脂肪にはあまり変化がありません。
牛肉に含まれる脂肪には、飽和脂肪酸と、不飽和脂肪酸(オレイン酸)があります。
この中で、不飽和脂肪酸は、善玉コレステロールを減らすことなく、悪玉コレステロールを減らしてくれる良い脂肪です。
熟成前と、熟成後で、この不飽和脂肪酸の含有量を測った結果、変化がないことがわかっています。
ただ脂は、長期熟成することにより、チーズのように変性します。
そのため、霜降りの多い部位を使用してもよいですが、脂に熟成による恩恵はないため、それほど味に変化を感じることができないことでしょう。
赤身の多い肉を熟成させることにより、熟成の恩恵を十分に受けることができます。
熟成と腐敗
きおつけなくてはいけないのは、熟成と腐敗の違いです。
熟成肉を作るには、熟成させるお肉、部位を決め、熟成させていきます。
しかし、肉質や、脂肪の含有量、水分の多さ、牛の種類などにより、熟成させる温度、湿度、期間がそれぞれ異なってきます。
そのため、どこまでが熟成であり、どこまでが腐敗であるかを見極めなくてはいけません。
熟成と腐敗は隣り合わせなのです。
腐敗を見極めるポイントととしては、匂いと粘性です。
お肉から腐敗臭がし、触ったときに粘性を帯びているようであれば、そのお肉は破棄しなくてはいけません。
まとめ
熟成は、赤身肉のおいしさをさらに引き出してくれる方法です。
しかし、個人で作ろうとすると、設備を整える必要がありますし、温度、湿度の管理など、とても多くの技術を必要とします。
家庭の冷蔵庫で作ろうとする人もいるかもしれませんが、現実的に無理なのでやめておきましょう!
家庭用冷蔵庫では温度の管理、対流を作るなどが現実的に不可能だからです。
手間のかかる熟成肉ですが、その美味しさは抜群。
赤身肉にはうまみが増え、脂はさらっと食べれる脂へと変化します。
本物の熟成肉の旨さを体験してみてください。きっとはまりますよ!
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